サハラ砂漠南部に接し、大西洋に面する、人口320万人の国で、正式名称はモーリタニア・イスラム共和国。1960年にフランスから独立して以来、クーデターを繰り返してきた。2005年8月のクーデターで成立した政権はすぐに行き詰まり、07年3月、独立後初めてとなる自由な選挙が実施され、シディ・モハメド・アブドライが大統領に就任した。しかし、翌08年8月、アブデル・アジズ将軍によるクーデターでまたもや軍事政権に戻った。アフリカ連合(AU)は同国の参加資格を停止。欧州連合(EU)は援助の中断などによって民政復帰を促す圧力をかけたが、09年7月の大統領選では、野党側の不正への非難にもかかわらずアブデル・アジズが過半数を制して当選した。頻発する政変の背後には、水産物や原油などの資源の利権を巡る利権争い、アメリカ主導のテロとの戦いへの積極的協力に対する世論の反発、アルジェリアを本拠地とする武装組織「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織」による越境のテロ活動など、政治・社会的不安定要因が存在する。