コンゴ民主共和国で続く紛争。2006年12月、ジョセフ・カビラが大統領に就任したが、翌07年3月には、大統領選挙で敗れた、キンシャサや西北地域に支持基盤を持つジャン=ピエール・ベンバとの間で武力衝突が起こり、数百人の死者を出した。同国東部では、ツチ系のロラン・クンゲ将軍率いるコンゴ人民防衛国民会議(CNDP)とフツ系のルワンダ解放民主勢力(FDLR)が、いまだに武装解除を行っていない。08年1月には、国連、欧州連合(EU)、アフリカ連合(AU)などの調停努力によって、CNDP、FDLRとコンゴ政府軍との間で停戦プロセスが開始されたが、同年8月以降、CNDPとコンゴ政府軍の武力対立が激化。一時は給与未払いと訓練不足で士気の低い政府軍に対して、CNDPが軍事的に優勢となった。00年以来派遣されている国連平和維持部隊(MONUC)も十分に対応できず、08年11月、国連安全保障理事会決議により増強されることになった。この間、多数の負傷者はもとより、新たに25万人と推定される国内避難民が出た。コンゴ民主共和国の政情不安定の原因としては、モブツ大統領の長期独裁政権下の国内統治の失敗、1994年のルワンダ大虐殺に伴う、同国と国境を接するルワンダ、ウガンダ、ブルンジとの不信に満ちた国交関係などが挙げられる。コンゴ東部の持続的和平には、ルワンダやウガンダなどの近隣諸国との信頼関係の回復が不可欠。(→「コンゴ民主共和国内戦」)