2000年代初頭に始まった資源輸出の活性化にともない、アフリカ諸国で高まりつつある経済転換。資源輸出によって経済が発展する中で、資源を国内で加工することによって付加価値を高め、かつ肥大化する都市での雇用創出のため、内需や外需を満たすべきという気運が資源国政府、国際援助機関、内外のビジネス界でわき起こった。アフリカ市場に大規模進出している中国も、15年末、南アフリカでの中国・アフリカ協力フォーラムにおいて、アフリカの工業化プロセスに積極的に参加するとの意向を表明した。アフリカ諸国にとって、工業化は植民地時代の1次産品輸出経済からの脱出策として、1960年代より国づくりのための悲願であった。しかし80年代以降は、対外累積債務危機による国際金融機関主導の構造調整政策の導入で、即金性の高い一次産品輸出が促進され「脱工業化」が進んだ。グローバル市場下でのアフリカの工業化は、G20(group of twenty)が歴史的にたどったような強力な国家介入によるハイテク育成策は容易でなく、むしろ地域市場およびグローバル市場で機能しているバリューチェーンの製造・加工部分をローカル製造業の育成として担う戦略のほうが現実的であろう。その課題としては、中長期産業政策の策定、道路・電力事情の改善、政府を含めた透明なビジネス環境、幅広い人材育成、内外の資金へのアクセス、などが挙げられる。