アゼルバイジャン領カスピ海からトルコ領地中海までをつなぐ石油パイプライン。名称は、主な中継地および終着地であるアゼルバイジャンの首都バクー、ジョージア(旧称グルジア)の首都トビリシ、トルコのジェイハンの頭文字に由来。1990年代後半よりアメリカ主導でプロジェクトが立ち上がったが、カザフスタン沿岸カシャガン油田(2012年操業予定)の発見により、輸送原料の確保にめどが立ったことで、02年9月着工。BP(オペレーター)、ユノカル、スタット・オイル、伊藤忠などの合弁企業により総工費37億ドルをかけ05年5月完成。総延長1770キロ。輸送能力は年間5000万トン。バクー近郊で行われた開通式典には、沿線3カ国大統領のほかカザフスタンのナザルバエフ大統領も参加した。
従来、カスピ海沿岸の中央アジア、カフカス諸国は、ソ連時代に建設されたロシア経由の石油・天然ガスのパイプラインに依存せざるをえなかった。また、新規の主要パイプラインとして、やはりロシア経由のカスピ・パイプライン(CPC。初期輸送能力は年間2800万トン)が01年に先行して稼働していた。BTCの本格稼働により、カスピ海沿岸諸国は、既存のロシア経由のものに本格的に対抗できる輸送路を確保したこととなる。カザフスタンから中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区に延びる石油パイプラインと合わせて、中央アジア、カフカス諸国の資源供給の独自化の要として注目される。