2008年8月7日、ジョージア(旧称グルジア。→「グルジア呼称問題」)軍が南オセチアに展開し、ロシア軍が応戦したことにより始まった国際紛争。10日までにロシア軍は南オセチアの大半を占拠したうえで、ジョージア本国領内への侵攻・爆撃を行った。16日までにジョージア、ロシア両国首脳がEU(欧州連合)による和平プランに合意・署名。ただし、同プランに示された「ロシア軍の戦闘開始前の地点への撤退」が完了したのは10月10日。紛争当初、1500~2000人の犠牲者があったと報じられたが、その後ロシア側は193人、ジョージア側は372人の犠牲者があったと発表している(いずれも一般市民を含む)。また、12万7000人の避難民が生じた。この紛争は、長年膠着(こうちゃく)していたジョージア領内の未承認国家問題に国際的な注目が集まるきっかけとなった。紛争中、ジョージアは独立国家共同体(CIS)からの脱退を表明し、ロシアとの対立の度を深めた。アメリカはジョージアに複数年にわたり総計10億ドルの支援表明を行う(9月3日)など、サーカシビリ政権の政策を容認する姿勢を示している。また、トルコによるコーカサス地域安定化のための外交攻勢も注目される。