2012年10月1日に投票が行われた、サーカシビリ大統領率いる与党が敗北したジョージア(旧称グルジア。→「グルジア呼称問題」)の国政選挙。04年の大統領就任以後、アメリカのブッシュ政権の支援を受けロシアとの対決姿勢を維持してきたサーカシビリ政権は、穏健・対ロシア協調路線を主張する野党の攻勢を受けながらも前倒し大統領選挙(08年1月)に勝利し、ロシアとの武力衝突(同年8月)をはじめ多くの政治的危機を乗り越えてきた。他方、政権の長期化とともに、サーカシビリの政治運営は次第に権威主義的になり、メディア統制や反体制派弾圧が顕著となる側面もあった。今回の議会選挙で与党「統一国民運動」は150議席中65議席(前回選挙では119議席)を獲得したのに対し、85議席を獲得した野党連合「ジョージアの夢」が勝利。翌2日にサーカシビリが敗北を宣言したことで野党連合指導者イワニシュビリが首班となって組閣。当初危ぶまれていた権威主義的体制の定着が回避され、民主的に政権移行が進められる意義は大きい。憲法で3選が禁じられ、13年10月に任期満了となるサーカシビリ大統領は事実上レームダック化。他方、イワニシュビリ内閣に参画した勢力は必ずしも一枚岩でなく、経済の立て直しやアブハジアおよび南オセチア領有をめぐるロシアとの対立など山積する難題の解決に道筋をつけられるかどうかは不透明。