旧ソビエト連邦(ソ連)中央アジア南西部に位置する国。首都はアシガバート。人口は約540万人(2015年、国連人口基金)。国の主要民族であるトルクメン人はテュルク系であり、人口の85%を占める。トルクメン語はテュルク諸語南西語群に属し、トルコ語やアゼルバイジャン語に近い。イスラム教スンニ派が主要な宗教である。約540万人の人口は、国の中央部に広がり、国土の8割を占めるカラクーム砂漠を取り囲むように居住している。国の東部にはアムダリヤ川が南北に流れ、そこから1000キロ以上西進する世界最長のカラクーム運河がソ連時代に建設され、今日でも大規模な灌漑による綿花生産が行われている。1991年にソ連から独立後、ニヤゾフ前大統領が極端な独裁体制を敷いてきたが、2006年12月に急死。後継となったベルディムハメドフ大統領は、就任当初、ニヤゾフ時代末期に停滞した対外関係を活発化させ、デノミネーションや為替レートの統一といった金融・経済改革、一定の民主化の方向性を含んだ法改革(憲法改正を含む)など矢継ぎ早に断行した。しかし、16年の再度の憲法改正により、大統領就任のための年齢制限(上限70歳)が取り払われ、ニヤゾフ時代のような大統領独裁の色彩が強まっている。国際的には、1995年に国連総会でトルクメニスタンの永世中立が承認され、今なお堅持されている。その関係で、外交は各国との二国間関係を最も重視してきたが、近年は地域・国際機関への関与も徐々に活発化させている。経済的には、石油と天然ガスの輸出に依存しており、その国際価格の変動に経済が大きく左右される。工業の発展と輸出品の多角化が課題である。2009年に中国向けの天然ガス・パイプラインが開通し、14年までは年率10%以上の高い経済成長を維持してきたが、ここ数年は油価下落により停滞している。国内では水・電気・ガスなどの使用料金が実質的に無料で、石油・ガスの輸出で得た財源を国民に再配分することで政権は支持を得てきたが、反面、言論の自由はほぼ皆無で、国内の自由度は著しく低い。