授業・学級運営面などで問題のある公立学校教員に対し免職・転職などの措置を講じるべし、という教育改革国民会議の提言を受け、2001年に地方教育行政法が一部改正され(第47条の2の新設)、都道府県教育委員会は、(1)児童・生徒に対する指導が不適切で、かつ(2)研修等必要な措置が講じられてもなお改善が認められない場合、当該教員を免職し、当該都道府県の他の常勤職に採用することが可能になった。ただし、教育委員会規則で事実確認の方法や判断手続きなどが定められていなければならない。04年度までにすべての都道府県・政令指定都市の教育委員会が指導力不足教員に関する人事管理システムを運用しており、09年度は260人が指導力不足教員と認定された(04年度566人、05年度506人、06年度450人、07年度371人、08年度306人)。従来から、都道府県教育委員会は地方公務員法の定めにより、公立学校教員がその職責を十分に果たし得ない場合(勤務実績不良、心身の故障など)や関連する法律・規則等への違反、職務上の義務違反、非行があった場合、それぞれ分限処分(免職、休職、降任、降給)、懲戒処分(戒告、減給、停職、免職)に処することができたが、上記地方教育行政法の改正は教育上の指導力不足を処分事由とした点で画期的である。しかし、不当な処分とならないように指導力不足の判定や研修等の適切性を確保することが重要である。なお、教育再生会議や規制改革・民間開放推進会議は、不適格教員と呼び、そうした教員を教壇に立たせないためにも、教員免許更新制を導入すべきだと主張した。