1949年に制定された教育職員免許法に基づく教員の資格制度。戦前、教員免許状は主に師範学校卒業生に与えられたが、戦後はこの教免法により教員養成は大学で行うことになり、教職課程を置くどの大学の卒業生でも所定の科目・単位を修得すれば免許を取得できることになった(教員養成の開放制)。80年代に顕在化してきた教育問題や教育環境の変化を背景にして88年に大幅改正され、大学院修士修了を基礎資格とする専修免許状、大学卒程度の1種免許状、短大卒程度の2種免許状から成る3段階制や、社会人など免許状非保有者の採用を認めた特別非常勤講師制度などが導入された。さらに98年、不登校・いじめ等への対応能力の向上を目的に教員養成カリキュラムが改訂され、生徒指導やカウンセリング関係の科目が選択必修となり、2000年度からは小中学校免許の取得要件として教育実習期間が2週間から4週間(または3週間)に延長され、加えて1週間の介護等体験実習が課されることになった。また、現行法は教員に学校種別に対応した教員免許状の所有を求めているが(相当免許状主義)、学校段階間の相互理解と連携強化を促進するために教育職員免許法が改正され、02年7月より中学・高校の免許状保有者が小学校で相当教科や「総合的な学習の時間」を担当できるなど、教員免許状の総合化・弾力化が図られた。さらに06年7月の中央教育審議会(中教審)答申を受けて同法は07年6月にも改正され、09年4月より、教職に対する信頼の回復・確立と教員の資質能力・専門性の向上を目的として教員免許更新制が導入されることになった。しかし同年9月に発足した民主党政権は、同制度の廃止を掲げたものの即時的な廃止はなされず、11年3月末に更新期限を迎えた対象者のうち0.1%にあたる98人が免許を失効した。同制度については、中教審において、「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策」の一環として、新たな制度への移行も含めて検討されている。