教員免許状に10年の有効期限を付し、10年ごとに30時間の免許更新講習を受け、所定の要件を満たした場合に免許を更新する制度で、現職教員にも適用される。2006年7月の中央教育審議会(中教審)答申や教育再生会議の提言を受け、07年6月に教育職員免許法が改正され、同法に基づき09年4月から導入・実施されることになった。教員に対する揺るぎない信頼を確立するための総合的な改革の一環として、教職生活の全体を通じて教員としての必要な資質能力を確実に保証することを目的に導入されることになったが、02年の中教審答申では導入が見送られた経緯もあり、今回の法改正と実施を疑問視する声も多い。教員免許更新制は世界でも教員資質のばらつきと低さが問題になっているアメリカやその他タイなど若干の国でしか実施されていないが、排除の機能が強まれば教員身分の不安定化と教職の魅力の低下を招き、非更新が少なければ免許制の複雑化と膨大な費用・労力の無駄を招くだけということになりかねない愚策との批判も多い。民主党政権は同制度の抜本的見直しを表明していたが、10年の参院選敗北のため法改正が困難な状況となり、一転継続することになった。12年現在、中教審において、教員免許制度の見直しと合わせて、「教員が教職生活の全体を通じて自発的かつ不断に専門性を高めることを支援する新たな制度への移行」も視野に検討が進められている。