公立学校に対する信頼の低下が言われるなか、教育改革国民会議の「教師の意欲や努力が報われ評価される体制」をつくるべしとの提言を受けて、文部科学省は2001年の21世紀教育新生プランでそうした体制づくりの方針を打ち出し、03年度より「教員の評価に関する調査研究」を開始し、全都道府県・指定都市教育委員会に05年度までに教員評価システムの改善を図るよう指導している。それに先んじて東京都が00年度から実施している人事考課制度は、自己申告制度を含み、教師の資質能力向上を図るための「能力開発型人事考課制度」とされているが、評価結果を給与、異動、昇進等の処遇に反映させている点で業績主義的(成果主義的)・管理主義的側面を併せもつ制度である。適切な教員評価は必要だが、教師のモラルの低下や職場の同僚関係・協働関係を阻害することのないように、適切な仕組みを工夫することが重要である。