学習内容の習得度によって学級、学習集団を編成するもので、ホームルーム単位に編成する方式(習熟度別学級)と、教科・科目・課題ごとに編成する方式(習熟度別学習)がある。能力別学級編成、学力別学級編成と実質的には同じだが、能力別や学力別という語が固定的意味合いをもつという理由でこの語が用いられる。高校進学率の上昇に伴い生徒の学力差が拡大してきたとの認識から、高校では1978年改訂の学習指導要領で学習効果を高めるための方法として普及した。小・中学校では87年の教育課程審議会答申が中学校での導入を提言して以来、徐々に広まり始めたが、2002年1月の「学びのすすめ」で個に応じた「きめ細かな指導」の実現を目的に習熟度別指導が奨励され、急拡大している(07年度小学校85%、中学校74%)。しかし、小・中学校での拡大は、学力差の固定化と早期選別を招く危険性や、生徒に不必要な優越感や劣等感、不公平感を抱かせる危険性もあるだけに、慎重かつ適切な方法を工夫することが重要である。なお、イギリスの初等・中等教育における学力別編成はストリーミング、アメリカのハイスクールで一般的な進路別・課程別のグループ分けはトラッキングといわれる。OECDの国際学習到達度調査(PISA)でトップクラスとなり注目されているフィンランドでは1980年代半ば以降廃止している。