「美しい国づくり」とそのための「教育再生」をスローガンに掲げた安倍晋三政権の下、2006年10月の閣議決定で「会議は、内閣総理大臣、内閣官房長官及び文部科学大臣並びに有識者により構成し、内閣総理大臣が開催する」として設置された内閣総理大臣の諮問機関。07年1月に第一次報告、同年6月に第二次報告、同年12月に第三次報告「社会総がかりで教育再生を・第三次報告~学校、家庭、地域、企業、団体、メディア、行政が一体となって、全ての子供のために公教育を再生する~」を公表。「徳育」の教科化、飛び級の導入を含む「6-3-3-4制」教育制度の弾力化、副校長・主幹教諭の管理職化、学校の第三者評価や教育バウチャー制などの市場的競争原理の導入などを提言した。しかし、特に初等・中等教育の改革案については、総じて独善的・イデオロギー的色彩が強く、参院選での自民党大敗後の07年9月に安倍首相が退陣したことにより、その影響力は低下した。提案内容も、学校教育法の改正で導入可能となっている副校長・主幹教諭をはじめ、すでに実施済みの改革が多い一方、第三者評価や教育バウチャー制などには批判も多く、また、「徳育」の教科化については中教審も見送りを決定している。なお、同会議は08年1月に最終報告書を福田首相に提出して解散し、代わって08年2月の閣議決定に基づき、委員の大半を入れ替えた「教育再生懇談会」が設置された。同懇談会は08年5月に第一次報告(子供を有害情報から守る、保護者の子育てを支援、留学生30万人計画の推進、英語教育の強化、環境教育の充実、学校の耐震化等を提言)と「教育振興基本計画に関する緊急提言」(教育への公財政支出をOECD諸国並みの対GDP比5%にすること)、同年12月に第二次報告(教育基本法改正と学習指導要領改訂を踏まえた教科書の充実に関する提言)、その後も09年2月に第三次報告、同年5月に第四次報告を公表したが、政権交代後、同年11月の閣議決定により廃止された。