従来、学校教育法は学校段階ごとに修業年限を定めており、飛び級は認められていなかったが、1989年の大学院設置基準などの改正により、大学3年修了時からの大学院への飛び入学が可能となり、その後さらに、大学院の課程修了要件も緩和され、大学院入学から最短3年で博士学位を取得できることになった。大学院への飛び入学は、2001年度は43大学198人だったが、09年度は69大学320人と増加傾向にある。修士課程の早期修了は01年度36大学290人から07年度は79大学689人へと増加したが、09年度は72大学470人へとやや減少している。博士課程の早期修了は01年度51大学298人から07年度79大学777人へと増加したが、その後はほぼ横ばいで09年度は91大学756人となっている。他方、大学への飛び入学については、1997年に学校教育法施行規則が改正され、数学・物理学の分野で希有な才能を有する者について、教育上の例外措置として高校2年修了時から大学に入学できることになり、98年に千葉大学、2001年に名城大学が開始した。日本数学会などは高校2年段階での才能の判定は不可能として反対を表明したが、教育改革国民会議の提案を受けて01年6月に学校教育法が改正され、どの分野でも特に優れた資質を有すると認められる者の高校2年修了時からの入学が可能になった。しかし、07年度以降の導入大学はなく、12年度入試での飛び入学実施大学は、上記2大学と昭和女子大学、成城大学、エリザベト音楽大学、会津大学で、飛び入学者は千葉大学1人、名城大学2人、会津大学1人でしかなかった(08年度以降は総数10人未満で推移)。アメリカでは、そうした単純な大学飛び入学よりも、AP(Advanced Placement)プログラム利用者の方が増えている。AP制度は、高校在学中に履修した授業科目が高校の卒業単位になるだけでなく、大学入学後に大学の単位として認めてもらえる制度で、高校生が協定大学の授業を受け同大学に入学した場合に大学の単位としても認められるタイプと、高校の授業科目のうちAP科目に認定された科目を履修した後APテストに合格すると、その単位が大学の単位となるタイプがある。このAP制度に近いものとして、日本では1998年度より、学校教育法施行規則が改正され、大学などの公開講座や、科目等履修生・研究生・聴講生として履修した大学の授業科目を、高校の単位として認定する制度が導入された。さらに2005年度より、その認定可能単位数の上限が従来の20単位から36単位に拡大。大学などにおける学修の単位認定制度を実施している学校数は同制度創設の1998年は12校だったが、その後増え続け、2003年度261校となっており、また、大学の科目等履修生の制度を活用している学校数は1999年15校だったが、2003年には414校へと増加している。