高校から大学への移行を円滑にするために、大学新入生を対象に行われる総合的な教育プログラムで、学力不足を補うためのリメディアル教育(補習教育)を含む場合もあり、もう一方で、導入教育と言われることもあるが、それよりも包括的な概念である。主な内容は、(1)大学での学修の仕方(授業受講と事前・事後の自己学習の仕方、資料・文献の探索・収集・整理とレポート・論文の書き方など)の指導、(2)大学での学修に必要な汎用的スキル(コミュニケーション・スキル、プレゼンテーションやディスカッションの仕方、数量的スキル、情報リテラシー、論理的思考力、問題解決力など)の形成、(3)自分の興味関心や得意・不得意の分析・確認と学修プラン・キャリアプラン・ライフプランづくりへの導入、(4)大学生活の過ごし方(課外活動や仲間づくり)に関わるガイダンスなどである。国際的には「First Year Experience(初年次体験)」と言われ、1970年代にアメリカで始まり、世界的に広まってきた。その背景には、高校までの教育と大学教育の違いに加えて、大学教育の大衆化・ユニバーサル化(→「大学教育のユニバーサル化」)が進み、学生の学力・思考力・読解力や興味関心が多様化したことや、大学教育にスムーズに適応できない学生やドロップアウトする学生(中退や留年を繰り返す学生)が増えたことと、もう一方で、大学の生き残り競争の激化や大学教育の質の保証が重視されるようになったことなどがある。