国や社会の問題を自分の問題として捉え自ら考え自ら判断し行動していく主権者としての学びを促し、必要な知識・判断力・行動力等を育成する教育。シティズンシップ教育の重要な一翼を担う。若者の政治的無関心はいまに始まったものではないが、たとえば20代の投票率は年々低下傾向にある。少子高齢化が進む中、年齢構成のアンバランスが生じ、若者の意思が政治に反映されにくいことが懸念されている。また、改正国民投票法(2014年成立)、改正公職選挙法(15年成立)により、16年から選挙権年齢が満18歳以上に引き下げられる中で、主権者教育の必要性がこれまで以上に認識されている(→「18歳選挙権」)。たとえば、いくつかの高校で模擬選挙の試みがなされており、投票することのハードルを低くする効果があると期待されている。社会の形成者を育てる教育がおろそかになりがちなわが国において、主権者教育の実施とさらなる改善が注目を集めている。なお、総務省と文部科学省は、生徒向けには副教材、教員向けには指導資料として「私たちが拓く日本の未来-有権者として求められる力を身に付けるために-」(15年)を発行した。現象を多面的・批判的に吟味するとともに、少数意見や異質な声に耳を傾ける対話的関係性が求められる。