形式的には中立的に見える規定、基準、慣行などが、運用するとある集団(女性など)に不利益をもたらすこと。差別の隠れみのになりやすい。世帯主のみへの住宅手当、女性に多いフルタイムパートなどが典型。日本は2003年に国連の女性差別撤廃委員会(→「女性差別撤廃条約」)から再度の是正勧告を受けており、間接差別禁止は07年4月施行の改正男女雇用機会均等法の中で大きな改正点。ただし雇用者側の反発が強く、今回盛り込まれたのは、(1)(業務に必要のない)身長・体重・体力を募集・採用の要件にする、(2)(幹部候補の能力育成に不可欠という合理的理由がない)全国転勤を総合職の募集・採用の要件にする、(3)(業務に関係ない)転勤経験を昇進の要件にする、の3事例のみ。体力が条件だと女性は採用されにくく、育児・介護を主に担うことになりがちな女性は、昇格条件に転勤があると昇格を望めず、結果的に差別となる。規定以外の間接差別も司法判断により違法となることを周知する付帯決議があり、付則で施行5年後の見直しも盛り込んだ。1985年の男女雇用機会均等法により直接的な性差別が禁止された後、間接差別をめぐる訴訟が相次いでいた。「総合職」「一般職」に区分して採用・処遇する「コース別」雇用管理制度では、「一般職」に圧倒的に女性を集中させ、低賃金に抑えたまま昇格もさせないでいた。女性を「非正社員」にあて、同じ価値の労働を低報酬で担わせる問題もある。欧米では法で「原則禁止」とした上で、特定の判断基準を設けず、裁判所などが個別に不利益の有無を判断している。