夫婦や恋人など親密な関係にある男女間で行使される暴力。身体的暴力のほか、精神(心理)的暴力、性的暴力、経済的暴力、社会的に孤立させることなどにより、相手を自分の思い通りに支配しようとする行為。2008年「ラスト・フレンズ」(フジテレビ系)、11年「カレ、夫、男友達」(NHK)などのテレビドラマでも話題となった。DVに対する取り組みは、被害者を支援する女性運動から始まり、国連による「女性に対する暴力」への取り組みに後押しされ、01年、超党派の女性議員らを中心に法制化(「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」)を実現させた(→「DV防止法(配偶者暴力防止法)」)。同法に基づき、現在は各地に相談窓口や支援センターが設置されている。14年の内閣府「男女間における暴力に関する調査」によると、配偶者(内縁関係や元配偶者も含む)からの身体的、心理的、経済的、性的暴力の被害経験(「何度も」または「1~2度」)は、女性23.7%、男性16.6%。これまで被害は女性が圧倒的多数だったが、近年は男性の被害経験も報告される。配偶者暴力に関する保護命令の発令は2970件(15年、最高裁判所)、配偶者暴力相談支援センターへの相談は11万1630件(15年、内閣府)、警察での認知件数は6万3141件(15年、警察庁)で、いずれも増加傾向。東日本大震災の被災地では、先が見えない不安な生活の中でDVが深刻化した。