中高年(熟年)の離婚。子どもの独立時や夫の定年退職時に多い。同居歴が長い夫婦の離婚増加率は高く、同居20年以上が離婚全体の約17%(15年、厚生労働省「人口動態統計」)。協議離婚が9割なので離婚原因や経過の把握は困難だが、家庭裁判所への離婚調停申し立て理由は、性格の不一致、暴力、異性関係が目立つ。熟年離婚では長年にわたり妻の生活や人間性を軽視してきた夫への不満が主因。熟年世代の離婚数はここ数年横ばい傾向だが、「離婚時の厚生年金分割制度(年金分割制度)」導入で、07年4月以降の離婚では、夫婦の合意または裁判所の決定により、妻は夫の報酬比例部分のうち最大2分の1を請求できることになった(共働きの場合は両方の報酬比例部分を合算した半分を分割可能)。制度開始前からの1年間に分割に関する相談が約9万件、受取額の試算通知の情報サービス利用が約3万件と関心は高かった。制度に支えられて、07年4月以降の年金分割請求件数は増加傾向である(社会保険庁集計)。しかし、年金分割しても自立生活が困難であることを知り、離婚を断念する者が多いのも現実。また、配偶者との死別後に離婚することはできないが、「死後離婚」(造語)といわれ、配偶者の死後「姻族関係終了届」を提出すれば義理の両親や兄弟姉妹など姻族との関係を絶つことができる。夫と死別後、義理の両親の介護や嫁役割への期待などからの解放を望み、手続きをとる女性が増えている。