毎年医師は4000人程度増えているが、地域や診療科によっては深刻な医師不足が起こっている。2004年の臨床研修義務化(→「医師臨床研修制度」)で、大学病院が一般病院に派遣していた医師を呼び戻す動きが起きたことも原因で、特に産婦人科は勤務が過酷で訴訟も多く敬遠され、各地の病院で医師不足を招いている。福島県立病院の産科医が帝王切開手術に失敗して母親を死なせたとして業務上過失致死などで起訴されたこともあり、分娩施設の「集約化」が進められ、それが中小病院での医師不足の原因ともなっている。集約化された中核的病院と診療所や助産所との連携の強化が求められている。また医師不足に苦しむ多くの県は、地元で一定期間働くことを義務づけた独自の奨学金制度を設けるなど、さまざまな対策に取り組んでいる。なお、14年12月末時点では、全国で届け出されている医師数は31万1205人で、12年と比較すると2.6%増加している。