国家試験に合格した医師が、診療に従事するために受ける研修制度で、2004年4月より2年以上の臨床研修が義務化された。それまでも9割程度の医師は自分の大学医学部の医局や指定病院で臨床研修を受けていたが、医局などでの研修は特定の専門に偏りがちであった。新制度では、内科、外科、救急、小児科、精神科など各分野を回って、プライマリー・ケアには不可欠な、総合的な能力が養成されることになった。同時に、研修医の受け入れ病院は大幅に増やされ、またマッチングといって、研修医と病院が相手を選べるようにも改められた。この改革で、医局に籍を置いた研修医が大幅に減少し、大学病院が一般病院に派遣していた医師を呼び戻す動きが起こり、各地の病院で医師不足を招いている。そのため、研修期間を1年に短縮することも検討されているが、医師の診療能力を高めようとはじめられた制度の趣旨に反するとの批判も多い。