20世紀の初め頃より、福祉国家を構成する諸制度が整備されるようになり、労働権や教育権などとともに最低限度の生活を維持する権利も次第に認められるようになった。特に第二次世界大戦後は、各国で社会保障制度が整備され、社会保障を通して、失業であれ老齢であれ、また病気の者も障害を持つ者も、その社会の成員にふさわしい最低限度の生活が保障されることになった。日本でも1946年11月に公布された日本国憲法第25条で、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」(1項)と生存権を定め、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」(2項)と国の義務を規定している。社会保障制度の中でも、国民の生活を護る最後の砦は生活保護制度で、国が保証するべき最低限度の生活水準が保護基準として具体的に定められている。