生活保護で、母子世帯(父子世帯も含む)の必要生活費を一般より高く設定するために設けられる加算。生活保護では、保障すべき最低限度の生活費の基準(保護基準)を決める際に、高齢者や母子世帯の貧困の実態を考慮して、高齢者や母子世帯に通常の生活費に上乗せする一定の加算を行ってきた。しかし、1990年代以降の長期の不況で非正規労働者などの低賃金世帯が増加する中で一般低所得世帯とのバランスをとるため、また、増加する社会保障支出を抑制する必要から、小泉政権下で老齢加算と母子加算がそれぞれ2006年度と09年度までに段階的に廃止されることになった。しかし、ギリギリの生活をさらに切りつめる必要に迫られた生活保護を受けている母子世帯や高齢世帯からは加算の復帰を願う声が高まり、子育てを支援する社会的必要とも相まって、政権交代前の民主党など野党は母子加算の復活法案を共同で提出していた。09年8月の総選挙で実際に政権交代が実現すると、鳩山政権により09年12月から母子加算が復活することになった。一方、老齢加算の方は廃止されたままである。