患者の健康についてのあらゆる相談に応じることのできるプライマリー・ケアの専門医のこと。疾病構造の変化で、医療のあり方も生活習慣病に対する医療や予防が重要になっている。また、医療や福祉サービスに支えられながら一定の療養期間を終えて死を迎える人々が増えるようになっている。こうした医療では、患者の生活や生き方を尊重し、患者の病歴や受診歴を異なる専門診療も含めて一元的継続的に把握し、異なる専門医療や介護福祉などさまざまなサービス提供者と連携し、患者家族の安心を支える医療が求められる。西欧では、臓器別の専門医とは別に、「一般医」とか「家庭医」と呼ばれる専門の医師がいて、患者の医療問題を広く受け止めて、患者家族の健康管理に継続的にかかわっている。一般医療は、医学教育のカリキュラムの中に取り入れられ、一般医のための専門研修が確立しており、医師の半数程度が一般医となる国が多い。また、臓器別の専門医療を担当する病院と一般医療を担当する診療所との役割分担が明確で、国民も診療所の医師に相談して病院の専門医を紹介してもらう形で医療を受けるのが一般である。日本でも、こうしたプライマリー・ケアの医療を担う医師を「総合医」と位置づけ、その教育や研修体制を整備する必要が認識されるようになった。日本医師会でも、総合医のための研修プログラムが開発され、日本プライマリ・ケア学会、日本家庭医療学会、日本総合診療医学会の3関連学会は、合同で家庭医療を担う専門医の認定を行うことになっている。医学教育での位置づけ、専門研修の確立が今後の課題となっている。なお、2012年12月、厚生労働省の「専門医のあり方に関する検討会」において、その名称を総合医から総合診療医に統一することが決まった。