利用者の1割負担などを内容とする障害者自立支援法の廃止を公約としていた民主党政権の下、2012年4月に成立した法律。政府は、内閣府に「障がい者制度改革推進会議」を設置して当事者の声を反映しつつ新しい仕組みを検討したが、福祉サービス利用料の1割負担については、現行法の改正で12年4月より9割以上の利用者の負担がなくなること、ねじれ国会の下で自民・公明両党の意向が無視できなかったことなどにより、現行法の改善を図るかたちの同法が成立した。同法により、13年4月から「障害者自立支援法」は「障害者総合支援法」に改められ、障害の対象として難病等が追加された。14年4月からは、重度訪問介護のサービス対象者を知的・精神障害者にも広げ、「障害程度区分」は「障害支援区分」に変更される。難病患者が障害者の範囲に含まれるなどで評価される半面、当事者が求めていたサービス内容の充実や支給決定手続きの改善などは見送られた。そして15年12月、施行後3年をめどに障害福祉サービスの在り方を見直し、所要の措置を講ずるとの同法の附則に基づき、社会保障審議会障害者部会は、(1)利用者負担の拡大については引き続き検討すること、(2)障害者が65歳以上になる際に介護保険サービスの利用を優先するという原則(利用者の負担増につながる)を維持すること、(3)一人暮らしの知的障害者、精神障害者を定期的に巡回したり随時対応したりするサービスを新たに設けること、(4)グループホームについては障害の重い人に対応した支援を提供するサービスを新たに設けること、などを内容とする報告書を提出した。政府は、そのための改正法案を提出し、新サービスは障害福祉サービスの報酬が改定される18年度から実施される見込みである。