国民の最低生活を下支えする生活保護法の1950年以来の大幅改正。2013年12月に成立、14年7月施行。1990年代後半以降、生活保護の受給者とその費用が増え続ける中で、その費用を抑制することが改正の主な狙いとなっている。不正受給を防ぐために申請者に書類の提出を義務付け、親族による支援を強化するため親族への通知が義務付けられる(ただし特別な事情があればこの限りでない)。また、保護受給中に就労して収入が得られてもこれまでは、その大部分が保護費から差し引かれるだけであったが、就労を促進するため、安定した職業に復帰して保護を必要としなくなった段階で、収入認定された金額の範囲で単身者10万円、多人数世帯15万円が、本人に就労自立給付金として支払われることになった。不正受給の罰則は、「3年以下の懲役または30万円以下の罰金」が「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」となるなど強化された。医療扶助については、生活保護の医療を行う医療機関への指導が強化され後発医薬品の使用を促すなど適正化が図られている。生活困窮者が増加するのに応じて生活保護費が増えるのは、制度が有効に機能しているからであり、その中で費用を抑制することは漏給を増やすことになりかねない。特に親族への通知では、保護を必要としている人の申請を抑制することのない運用が求められる。なお、この法改正とならんで、増加する生活困窮者が被保護者とならないよう、その自立を支援する制度を定めた生活困窮者自立支援法も同時に制定されている。