医療、介護、保育、障害などの社会保障サービスを受ける際に利用者が負担する自己負担を世帯で合算し、その合計額が一定額を超える場合に超過分を国が負担する制度。社会保障の各制度には利用者の負担が過重とならないよう自己負担の軽減制度が設けられている。また、医療と介護については両制度の自己負担額を合算して一定額以上を払い戻す高額医療・高額介護合算療養費制度が設けられている。これに対し、社会保障と税の一体改革の中で、消費税率が引き上げられた場合の低所得者対策として導入が検討された総合合算制度は、サービス対象を保育と障害にも広げ、広く保育サービスを受ける若い世帯なども対象に含めるとともに、世帯所得の把握が可能となるマイナンバー制度の導入を前提に、世帯の所得に応じて上限額が調整される公平性の高い制度になっていた。たとえば、負担限度額を世帯の所得の10%とすると、夫婦で年収200万円の世帯ならば上限額は20万円となり、世帯の医療や保育の自己負担の合計が25万円の場合5万円が支給されることになる。財源としては4000億円程度が見積もられていたが、安倍政権になって、消費税率を10%に引き上げる際に軽減税率が導入されることになり、そのための1兆円規模の財源の穴埋めに総合合算制度の実施は見送られることになった。