政府・与党は、2008年10月、「介護従事者の処遇改善のための緊急特別対策」として、09年度介護報酬改定率をプラス3%とすることを決めた。この改定は、介護保険制度発足以来はじめてのプラス改定で、とくに介護従事者の処遇改善とそれに伴う利用者への質の高いサービスの提供に資することをねらっている(→「介護労働」)。しかし、改定率3%は、全体の平均であり、事業によってあるいは地域によって、さらには加算の有無によって、その率が大きく異なることに十分留意する必要がある。また、介護従事者の処遇改善だけでなく、経営の効率化と安定化を図ること、医療と介護の連携の推進、認知症ケアの充実なども、基本的な目的に含まれている。なお、社会保障審議会介護給付分科会では、今回の報酬改定が介護従事者の処遇改善に果たしてつながるのかという危惧が再三にわたって表明されたが、この点については、どの程度の改善につながったかを検証するために、給与情報の公表方法などが今後示される予定である。