高齢期には、職業や家庭の用務とは別に、個人の希望や意思にもとづいて地域や社会のさまざまな活動に参加することが、高齢者の健康と社会的かかわりを維持増進する上で、また地域や社会への貢献という意味で重要な課題である。多数の団塊の世代が定年を迎えている今日、その重要性は一層大きくなっている。「高齢者の地域への参加に関する意識調査」(内閣府:2013年実施)によると、「友人とまたは団体で自主的な活動に参加した人」は61%、「今後参加したい人」は72.5%と、過去2回の調査に比べて着実に増加している。この課題に関する国の制度としては、老人クラブ助成や、シルバー人材センターなどがある。最近は、ボランティア活動へのポイント制度を実施する市町村が増えている。この制度は、東京都稲城市が07年に始めた「介護支援ボランティア制度」が最初で、介護支援のボランティア活動(65歳以上)に対するポイント数に応じて介護保険料の軽減のための現金に還元される。財源には、介護保険制度の地域支援事業交付金を充てている。その後、東京都杉並区は、ボランティア活動の範囲を介護支援だけでなく地域での清掃や花壇の手入れなどの地域貢献活動まで広げ、対象年齢も60歳以上とした。ためたポイントの8割は区内で使える商品券と交換でき、2割はボランティア団体への助成に使うファンドに寄付される。一方、こうした有償ボランティアには、ボランティアは無償を原則とするという立場からの批判もある。