成年後見人(→成年後見制度)には、一般に親族のほか、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職が就任する。しかし、親族がおらず、本人に多額の財産がないために紛争性がなく、日常的な金銭管理や介護サービスの利用契約などが中心の場合は、一般市民も成年後見の機能を担うことができる。国は、老人福祉法第32条の2を創設して(2012年4月1日施行)、市町村が市民後見人の育成と活用を図るために必要な措置を講ずるよう努めることを規定した。その具体的方策として、市民後見推進事業を実施する。実施主体は市町村で(社会福祉協議会、NPO法人などに委託できる)、事業内容は、市民後見人養成のための研修、市民後見人の活動を安定的に実施するための組織体制(推進検討会など)の構築、市民後見人の適正な活動のための支援(困難事例への対応のための弁護士などの専門職による支援など)である。