強制起訴とは、検察が不起訴にした事件について、検察審査会が起訴相当とする議決を2度行うことによって、その事件が自動的に裁判所に起訴されること。指定弁護士とは、強制起訴された裁判で検察官役を務める弁護士のこと。検察官は起訴の裁量をもつが(起訴便宜主義)、その裁量が適切かどうかを監視するのが検察審査会、通称、検察審である。検察審は、有権者から抽選で選ばれた11人がメンバーになり、起訴・不起訴に市民感覚が反映されているかどうかを判断する。たとえば、検察官が不起訴と判断した事件について、検察審が起訴相当議決、つまり起訴したほうがいいという判断をし、それを受けて検察官は、再捜査をしたが、改めて不起訴と判断したとしよう。その後さらに検察審が事件を審査し、2度目の起訴相当議決を行うと、その事件は裁判所に自動的に起訴される。これを強制起訴という。強制起訴された事件の裁判では、弁護士から選ばれた指定弁護士が検察官役を務め、被告人の弁護を務める弁護士と対決することになる。ちなみに、弁護士とは一定の法的資格をもった人、弁護人とは刑事事件で被告人を弁護する人をさす言葉である。ところで、犯情(犯罪に至るまでの事情)の重い事件について逮捕や捜索など物理力を使った強制捜査が行われることがあるが、強制起訴にいう「強制」は物理力の意味ではなく、2度の議決によって