起訴とは、検察官が、被告人に「こういう有罪判決を出してほしい」と裁判所に請求すること(公訴提起)。裁判所に起訴状という書面を提出して行う。起訴状には、被告人の氏名、公訴事実、罪名が書かれている。この被告人は、こういう行為をしたので、これこれの犯罪に当たる、だから有罪判決を出して欲しい、と請求するのである。逆に、検察官が次に述べる事情から起訴を見送ったときには、不起訴裁定書が作られ、起訴の見送りが被疑者らに通知される(不起訴処分)。不起訴になるのは、捜査段階で被疑者が無罪とわかったときが典型的だが、それ以外にも、被疑者が死亡したときや公訴時効が完成したとき、有罪を証明する証拠が集まらなかったとき等がある。さらに、証拠が十分に集まっても、被疑者の性格・年齢及び境遇・犯罪の軽重及び情状・犯罪後の情況を考慮し、処罰する必要がないと検察官が判断すれば、起訴しないこともできる。これを起訴猶予という。何度も有罪判決を受けさせると、かえって社会復帰が困難になることもあるし、初犯で軽い罪を犯したが十分反省しているならば刑罰を科すまでもないこともあるので、そのような配慮から、検察官には起訴に裁量が与えられている(起訴便宜主義)。