1票の重さが不平等だとして選挙の無効を争う一連の裁判。全国各地の高等裁判所を第1審とし、2009年8月に行われた衆議院議員総選挙以降、衆参すべての国政選挙に対して起こされている。12年12月に行われた衆議院議員総選挙の無効訴訟では、広島高裁や広島高裁岡山支部が選挙無効判決を示して注目されていたが、最高裁判所は、1票の重さが最大で2.43倍に及んでいることについて、憲法14条1項に照らし違憲状態にあるとしつつ、是正に向けた立法府の取り組みが見られるとして、選挙自体は違憲・違法としなかった(13年11月20日判決)。一方、参議院選についても、大法廷は、10年7月に行われた参議院選の無効訴訟において、最大5.00倍に及ぶ格差を違憲としつつ、同様に選挙自体は違憲・違法としなかった(12年10月17日判決)。このように現段階では、衆参とも違憲状態とするのが最高裁判所の立場といえるが、13年判決では、15人の裁判官全員が格差(較差)を違憲と判断していること、同年7月に行われた参院選の1人1票訴訟では、参議院で初めてとなる選挙無効判決が広島高裁岡山支部で示されていること(同年11月28日)などから、最高裁判所が1票の格差解消に積極的な判断を示すことが期待されている。(→「1票の格差」)