債務者が義務を果たさないときに、金銭を支払うことを国が命令することによって心理的圧迫を加え、義務を果たさせる制度。たとえば画家が肖像画を描いてくれると約束したのに約束を果たさないときや、半径50メートル以内に近寄らない義務を命じられたストーカーがそれに違反したときなどに用いられる場合がある。間接強制は、金銭を支払うように命じて債務者の意思を圧迫する点で、債務者の人格尊重の点から問題があると考えられてきた。そのため、債務を実現する手段として直接強制や代替執行ができないときに限り、認められる。たとえば、通常の金銭支払い債務は、差し押さえと競売のような直接強制によって実現できるし、違法建物の収去義務は、解体業者に頼んで代わりに実現できる(代替執行)。間接強制は、先に紹介した画家やストーカーに課せられた義務のように、直接強制や、誰かが代わりに実現することができない義務に限って認められている。