改正放送法案は、2010年11月26日の参議院本会議で可決・成立した。放送法は日本の放送が公共の福祉に適合し、健全な民主主義の発達に貢献することを目的に1950年に制定された。しかし、放送と通信に関する技術が飛躍的に発展し、とくにインターネットによる映像の配信やブロードバンド(高速大容量通信)の普及によって放送環境が激変し、通信と放送の垣根が低くなったことから、その改正が求められてきた。改正放送法は従来8つの法律で構成されていた放送と通信に関する法体系を抜本的に改めて、有線テレビジョン法、有線ラジオ放送法、電気通信役務利用放送法の3法を放送法に、有線放送電話法は電気通信事業法に統合し、そして電波法と有線電気通信法とをそれぞれ改正して、4法体系の下に位置づけた。また、メディアの集中排除原則を緩和し、在京キー局の出資比率の上限を引き上げた。地上波民間放送の負担を軽減するために、複数の放送局が共同で設備投資ができるように、従来は送信所などの設備を持つ事業者と放送業務を行う事業者は同じでなければならないとされてきたものを改め、両者を分離できることとした。