ある地区の住宅、住環境、雇用、福祉、地域経済など、エリア全体の総合的なまちづくりを支援する包括補助金(block grant ブロック・グラント)制度。1970年代のアメリカの住宅コミュニティー開発法に基づく連邦政府の包括補助金CDBG(Community Development Block Grant コミュニティー開発包括補助金)や、90年代のイギリスでのSRB(Single Regeneration Budget 単一再生予算)に源流がある。CDC(Community Development Corporation コミュニティー開発法人)やTMO(Town Management Organization タウンマネジメント組織)といったエリアマネジメントに取り組む民間主導の組織体を財政的に支援することを目的にしている。今後のまちづくりでは地域が本来有している潜在力を高めていく方向にかじを切る必要がある。その際に、これまで行政の部局ごとに縦割りで交付してきた補助金を、自治力の高い地域では一括して交付する包括補助金制度が有効に働く。例えば、神戸市のある小学校区で調査したところ、校区内の地域活動団体が交付されている補助金を合算すると年間で500万円ほどにも上ることがわかった。これだけのまとまった予算を地域が自律的に管理できるなら、地域住民のニーズにより即した事業が住民の協働・参画のもとに行えるようになるだろう。