サトウキビやトウモロコシ、木材・古紙などのバイオマス(生物資源)から作られるエタノール。植物は成長過程で二酸化炭素を吸収し、燃焼や分解の過程でそれを放出するので、燃焼時の二酸化炭素排出量はゼロ(カーボンニュートラル)とみなされ、バイオエタノールを燃料として使用することにより二酸化炭素削減効果が期待される。ブラジルでは自動車用燃料として広く実用化され、アメリカでもガソリンに10%混合した「E10燃料」が使われ、EU諸国ではバイオディーゼルの利用が促進されている。日本の京都議定書目標達成計画では、輸送用燃料におけるバイオマス由来燃料の導入目標を2010年に原油換算308万klとし、そのうち50万klをバイオエタノールとバイオディーゼルでまかなうとしている。原油価格の高騰に伴い、世界的にもバイオエタノールは一層注目を集め、経済産業省が06年5月にまとめた「新国家エネルギー戦略」でも積極導入が盛り込まれている。ただし、バイオエタノールの製造過程では、多量の二酸化炭素が排出されること、穀物を原料とした場合には食料としての用途と競合することなどに留意する必要がある。また、経済性にも課題がある。