地球上に存在する水のうち、淡水は2.5%。その大半は極地や氷河、あるいは地下水として蓄えられており、比較的容易に利用できる水は0.01%。しかもそれは地域的に偏在し、近年の急速な人口増加と経済発展により、水不足が顕在化している。世界人口の約40%が水不足状態の地域に生活し、約30%が水逼迫(ひっぱく)地域に暮らしている。現在の消費パターンが続くと、2025年には少なくとも世界人口の48%に当たる35億人が水不足の状態にある河川流域に居住し、そのうち24億人は極めて水不足の厳しい状況下で暮らすことになる。現在、アジア、アフリカなど31カ国が水の絶対的な不足に悩み、深刻な食糧不足をもたらしている地域も広がっている。水が原因で年間500万~1000万人が世界中で死亡し、12億人が安全な飲料水を確保できない。また、下水道などの衛生設備の整備の遅れにより、途上国を中心に水質汚濁が深刻化。途上国における病気の原因の80%は水の汚れで、水にかかわる病気で子ども達が8秒に1人ずつ死亡。森林伐採や都市化による土地利用変化により、洪水被害が拡大し、地下水位低下や地盤沈下も広がっている。地球温暖化の進行は、洪水被害や渇水化を頻発させる可能性がある。大量の食糧・木材等の輸入国である日本は、それらの生産に要する多量の水を輸入していることになる。国連教育科学文化機関(UNESCO)など24の国連機関は、06年にメキシコシティーで開催された第4回世界水フォーラム(→「世界水フォーラム」)において、「水、共有の責任」と題する「世界水発展報告書2」を発表。世界中では十分な淡水があるにもかかわらず、安全な飲料水にアクセスできない人が世界人口の5分の1を占め、40%の人々が基本的な衛生設備を欠き、自然災害の90%は水に関連しているとし、増え続ける水需要を満たし、資源の適切な管理のためには、よりよい水のガバナンスが重要であると指摘した。