モンゴルや中国北西部の乾燥地帯などから、大量の微細な砂塵が風によって吹き上げられ、偏西風によって長距離移動した後で沈降し、多量の黄色い砂ぼこりが降り積もる現象。砂塵嵐ともいう。黄砂の発生量は近年増加しており、その背景には内陸部の過剰耕作と過放牧による土壌劣化など、人間活動による砂漠化の進行が指摘されている。交通機関や農業活動に甚大な被害を与える黄砂は、北京を始め中国国内での深刻な環境問題であるとともに、国境を越えて韓国や日本にも影響を与えており、日本では毎年春先に観測される。黄砂の経路や速度は気象条件などに左右されるが、発生地から日本までの約3000~4000kmを3~4日で飛来。中国では急速な経済発展により様々な環境問題が顕在化しているが、黄砂はその象徴。環境問題と資源制約に直面した中国政府は、第11次5カ年計画(2006~10年)で「節約型社会」を提唱し、資源の節約、省エネ、節水、原材料土地節約と資源の総合利用および循環型経済を強調している。