熊本県水俣市で、チッソ水俣工場が排水とともに投棄した有機水銀に汚染された魚介類を食べた住民に発生した中枢神経系疾患。1956年に発覚。新潟県阿賀野川流域で発生した新潟水俣病を含め、認定申請者は約2万人。約3000人が患者認定を受けたが、なお5000人超が申請中。政府は1995年、チッソが約317億円を負担して約1万人の未認定患者に1人約260万円の一時金を支給するなどの救済策をとった。しかし、これに納得しなかった未認定患者らによる関西水俣病訴訟で、最高裁が行政の認定基準よりもゆるやかな基準を採用して被害を認めたことから、行政と司法の二重の基準が生じた。この解消を図るため、自民・公明両党による「与党水俣病問題に関するプロジェクトチーム(PT)」は、熊本、鹿児島両県の認定審査会について国と県が連携して早期再開を図るよう指示するとともに、未認定患者の新たな救済制度づくりのため、被害の規模や程度などの実態調査を求めた。2007年6月の環境省の中間報告では、回答した患者9割にあたる約9000人が体にしびれがあるとした。07年10月、同PTは、150万円の一時金の支給などを盛り込んだ水俣病新救済策を決めたが、申請期限を設けたことなどに批判もある。