地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)などの排出量が多い、鉄鋼や電力、セメントなどの産業分野(セクター)別に排出削減可能量を算出し、それらを積み上げることによって、国別の削減目標を設定する方法。セクター別にエネルギー効率の数値目標を国際的に合意して目標を設定することによって公平性を担保できるとし、2013年以降の世界の温暖化防止対策の枠組み(→「ポスト京都議定書」)の一環として、日本政府が提案している。ただし、この方式では科学が求める目標とは乖離(かいり)が生じる可能性がある。また、国際的には、先進国に対する国別の総量削減目標の代替とはなりえないとされている。セクター別アプローチは、特定産業セクターの省エネルギー技術等の移転促進措置と組み合わされることにより、途上国の温室効果ガス削減に寄与しうる。また、国際航空や国際船舶輸送など、国境を越えた排出が行われ、これまで削減の対象とされてこなかった業種を対象としたセクターごとの取り組みは有益である。