小田急線を走る電車の騒音をめぐり、東京都世田谷区の沿線住民ら118人が騒音の差し止めや計7億8000万円余の損害賠償を求めた訴訟。東京地裁は2010年8月、小田急電鉄が騒音対策を十分とらなかったことを違法とし、原告の請求を一部認めて42人に計1152万円余を払うよう小田急に命じた。小田急線が沿線住民の生活に必要不可欠な交通手段であるとして、騒音の差し止め請求については認めなかった。判決は、環境庁が1995年に在来鉄道の騒音指針を定めた際の内容から、「小田急の技術水準からすれば、対象区間の屋外騒音を昼間は65デシベル、深夜から早朝は60デシベル以下にすることが可能だった」と指摘、この水準を上回る騒音があった一部原告は会話妨害、テレビの視聴妨害、睡眠妨害やこれに伴う精神的苦痛を受け、一般社会生活上、我慢すべき限度(受忍限度)を超えていたと判断した。