地球環境問題に関して先進国も途上国も共通の責任があるが、問題への寄与度と解決能力においては両者に差異があるという考え方。1992年に開催された地球サミットで採択された環境と開発に関するリオ宣言第7原則に記されている。これは、その後の環境と開発に関する多くの条約や議定書の基礎となった。この原則は2つの要素からなる。第1は、国家、地域そして地球レベルでの環境保護に関し、各国は共通の責任があること。第2は、環境問題の発生に対する各国の寄与度と、環境破壊からの危険を予防し対処する能力が、国々によってそれぞれ異なるということである。以上のことから、各国は、地球環境問題対処のための国際的措置に参加することが要請され、また、対応においては、それぞれ差異のある義務を負う。この場合の差異のある義務の水準は、各国の特別な必要性・状況、将来の経済発展、問題発生に対する歴史的寄与度などの要素に基づき、環境上、経済上の文脈において考慮されることになる。この考え方は、2012年に開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20)でも再確認され、成果文書「私たちの望む未来」の、第15パラグラフで再確認されている。しかし、開発途上国でも急速な経済成長を遂げている国々がある一方、先進国の状況も多様化し、開発途上国と先進国という二分法的な区分が必ずしも当てはまらなくなっているという指摘もある。