2015年11月30日から12月13日までフランスのパリ郊外で開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議のこと。その成果は、国際条約であるパリ協定と、法的拘束力のないCOP21決定からなり、1997年の京都議定書採択以来の「歴史的合意」として高く評価されている。その内容は、以下のとおりである。第1は、協定全体の目的とし、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して「2℃よりも十分に低く」抑え(2℃目標)、さらに「1.5℃に抑えるための努力を追求する」こと(1.5℃目標)としている。第2の長期目標として、今世紀後半に、世界全体の温室効果ガス排出量を、生態系が吸収できる範囲に収めるという目標が掲げられている。これは人間活動による温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする目標である。さらに、継続的・段階的に国別目標を引き上げる仕組みとして、5年ごとの見直しを規定している。各国は、すでに国連に提出している2025年/2030年に向けての排出量削減目標を含め、2020年以降、5年ごとに目標を見直し、提出する。その際には、2025年目標を掲げている国は2030年目標を提出し、2030年目標を持っている国は、再度目標を検討する。5年ごとの目標の提出の際には、原則として、それまでの目標よりも高い目標を掲げることとされている。各国は気候変動の悪影響に対する適応能力と耐性を強化し、長期目標達成を念頭に置いた温室効果ガスの排出の少ない発展戦略を策定し2020年までに提出することが求められている。途上国への資金的支援については、2020年からの年間1000億ドルの支援の水準を2025年にかけて引き続き目指し、2025年以降については1000億ドル以上の新たな目標を設定することが決められた。経済力がある新興国なども自主的に資金を拠出できる。先進国は資金支援の状況を2年に一度報告する義務を負う。気候変動の影響に適応しきれずに実際に「損失と被害(loss and damage)」が発生することは、独立の問題として認識され、被害が生じてしまった国々への救済を行うための国際的仕組みが整えられることとなった。各国の削減目標に向けた取り組みや他国への支援については、定期的に計測・報告し、国際的な検証をしていくための仕組みが作られており、これは実質的に各国の取り組みを促す仕掛けである。