国連気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16、メキシコ、カンクン)で合意された世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して2℃未満に抑える目標。COP21で採択されたパリ協定では、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して「2℃よりも十分に低く」抑え(2℃目標)、さらに「1.5℃に抑えるための努力を追求する」こと(1.5℃目標)としている。産業革命以降、現在までに既に1.0℃程度の全球平均気温上昇が現れており、脆弱な分野・地域においては気候変動の影響が顕在化しつつある。今後温暖化が進行すると、動植物の分布変化、希少生物の絶滅、山岳氷河の後退など影響はさらに大きなものになることが予想される。また、低緯度地域の途上国や小島しょ国では、全球平均の気温上昇が2℃以下でも農作物収量への悪影響や海面上昇による被害が生ずると予想される。2℃を超えて気温が上がり続けると、さらに悪影響にさらされる分野・地域が拡大する。気温上昇抑制の目標は、このような許容しがたい影響の回避という観点から、温暖化影響に関する科学的知見の蓄積を参照しつつ、目標達成により軽減できる影響被害量、目標達成しても残る影響被害量、目標達成に要する排出削減努力、これらを総合的に判断し検討される。