地球の環境容量を科学的に表示したものであり、人類が生存できる範囲の限界を示すもの。スウェーデンのストックホルム・レジリエンス・センター所長のロックストロームらが開発した概念。九つのプラネタリーシステム(気候変動、海洋酸性化、成層圏オゾンの破壊、窒素とリンの循環、グローバルな淡水利用、土地利用変化、生物多様性の損失、大気エアロゾルの負荷、化学物質による汚染)を対象として、そのバウンダリー(臨界点、ティッピング・ポイント)を具体的に評価している。現在人類が地球システムに与えている圧力は飽和状態に達している。その圧力が大きくなりすぎ、気候、水環境、生態系などが本来持っているレジリエンス(回復力)の限界を超えると、不可逆的変化が起こりうる。このような人類が生存できる範囲の限界(プラネタリーバウンダリー)を把握することで、人類にとっての壊滅的な変化が起こることを回避できるのではないか、そしてそのような限界(臨界点)がどこにあるかを知ることが重要であるという考え方を示したものである。2009年にロックストロームを代表とする29人の科学者グループが、9つの境界を特定し、その測定結果についての論文を発表したことから世界的な注目を集めるようになった。この論文の全文は「 Ecology and Society」 に、またその要約版が「 Nature」に掲載された。プラネタリーバウンダリーのコンセプトは、15年9月の国連総会で採択された持続可能な開発目標(SDGs)にも大きな影響を与え、地球環境に関する目標は、プラネタリーバウンダリー内で達成すべき目標として設定されている。