正式名称は、労働安全衛生法の一部を改正する法律。2014年6月公布。1,2-ジクロロプロパン(DCP)やジクロロメタン(DCM)という塩素系有機溶剤を洗浄剤として使っていた印刷会社の従業員らに胆管がんが発生し、「職業性がん」と労災認定された事態を受け、化学物質のリスクアセスメントを義務化した。安全データシート(SDS)の交付義務がある化学物質(640種類)を製造または取り扱う全事業者に実施義務を課す。事業者はリスクアセスメントに基づき、製造設備の改良など、有効な措置を講じなければならない。化学物質のリスクアセスメントとは、化学物質を扱う際に生ずるおそれのある危険性や有害性を評価し、それを除去、低減するための方法をいう。具体的には、(1)実施担当者の決定、アセスメントを実施する単位(製造工程・取り扱い工程等)の決定、対象化学物質の特定、(2)化学物質のSDSを入手して有害性を格付け・特定、(3)化学物質による曝露の程度を特定、(4)有害性評価、曝露評価の結果を総合的に判断してリスクレベルを判定する。該当する化学物質については、安衛法に基づく労働安全衛生規則や特定化学物質障害予防規則などの特別規則で定められた措置を講じなければならない。