多産多死から少産少死への人口転換で、過去の高出生率期に生まれた子どもが成長し、大きな生産年齢人口(15~64歳)を形成する。65歳以上の高齢者人口は増加してもまだその規模は小さいが、近年の出生率低下によって15歳未満の年少人口は縮小する。その結果、総人口に占める生産年齢人口比率は極大化して70%前後となり、逆に子どもと老人を合わせた人口比率が最小になるために扶養の負担が軽減され、一国の経済にとって有利な人口構造が出現する。この状況を人口ボーナスという。日本では1970年代から90年代前半にかけて起きた。しかしこの状況は長くは続かない。少子化によって縮小した年少人口が次第に加齢して以前より小さい生産年齢人口になる一方、これまで大きかった生産年齢人口が老齢化して大きな65歳以上人口となる。生産年齢人口比率は60%台そして50%台に低下し、経済にとって今度は不利な状況が出現する。これを人口オーナスという。オーナスとは重荷あるいは負担の意味。出生率が大規模に回復するか、あるいは大量の若い移民(→「補充移民」)を迎え入れるかしない限り、この人口オーナスの状況は長期的に継続すると予想される。