1人の女性が生涯に平均何人の子どもを産むかの指標(合計出生率)。2005年に1.26であった日本は、景気改善の効果もあってか06年1.32、07年1.34、08年1.37に回復した。しかし、09年については、1.37で同じである。合計特殊出生率は、人口統計学上の妊娠可能年齢(15~49歳)の全女性(既婚も未婚も一緒)を対象に、母の年齢別出生数を、該当する年齢の女子人口で割った商の出生率を合計したものである。この数値は、比較的入手しやすい統計を用いて期間(年次)別の出生率を表す有効な指標であり、出生総数を総人口で割って求めた粗出生率よりも精緻(せいち)であるが、次のような制限もある。(1)分母は全女性であり、出産に直接関係する有配偶女子を分母にしたものではない、(2)晩婚による晩産、そして産み戻しという出産のタイミングの変化を十分に反映できない、(3)各年齢の人口の重みを同じく1とするため、例えば数の少ない10代後半の出生数がわずかに変化しても、数値が過大に変化する可能性がある。特に重要な(2)の欠点を補うためにコーホート出生率(cohort 同時出生集団)等の指標があるが、適切なデータを得るのは難しい。最近このような出生のタイミングの影響を除去する調整出生率(調整合計特殊出生率)という指標が考案され、広く利用されつつある。