2015年1月以降の相続から、(1)基礎控除の引き下げ、(2)最高税率の引き上げを骨子とする改正が実施された。(2)の最高税率の引き上げについては従来の50%が55%に引き上げられたが、その影響は相続税評価額が億単位に達する富裕層に限定される。それに対して、(1)の基礎控除は、定額控除分5000万円が3000万円に、相続人1人あたり1000万円が600万円に引き下げられたため、極めて影響が大きい。たとえば、3人で相続する場合、現行の基礎控除は8000万円が4800万円になる。増税前は相続税の対象になるケースは全国平均で4%程度だったのが、増税後、16年には8%まで上昇した。大都市の比較的地価の高いエリアに住んでいる場合、自宅を所有しているだけで相続税の対象になる可能性が高く、一般庶民でも相続税対策をとっておかないと、相続後に自宅に住めなくなるケースが出てくるのではないかとみられている。このため、住宅メーカーなどでは相続税評価額を引き下げる効果の大きい二世帯住宅を始めとする多世帯住宅、また賃貸併用住宅への建て替えなどを前面に打ち出した営業活動を展開している。